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チリワインが安くて美味しい理由①ワインを作るコストが低い
商品が安く売り出される時、その理由の大部分を占めるのがコストです。
商品を作るための費用が低ければ安くなるし、高ければ価格も高くなるということですね。
チリワインが安いのは、シンプルに、このコストが低いから。
都市部でこそ物価が上がってきてはいますが、ブドウを栽培するような自然が広がるエリアは、まだまだ土地代も安く抑えられています。
さらに、そこで働く人たちのお給料も先進国と比べればかなり低い状況です。
とにかく低いコストで作られているので、チリワインは日本でも安く手に入れられるわけです。
しかし、チリワインは安くても美味しいという魅力を持っています。
それは、人が手作業でブドウの実を丁寧に摘み取っているからです。
手間をかけても土地代や人件費が安いので、出来上がったワインは美味しく安いものになるんですね。
できるだけ多くのワインを安く輸送する為に樽ごと日本へと送るワイナリーもあるそうですよ。
こうした工夫も、安くて美味しいワインにつながっているようです。
チリワインが安くて美味しい理由②ぶどう栽培に最適な環境
ワインの味は、ブドウが決めると言っても過言ではありません。
チリは、このブドウの栽培に適した気候を持つ地域です。
これも、チリワインが美味しくなる理由なんです。
味や香りが凝縮した濃厚なブドウを作るには、寒暖差が必要です。
夜寒く昼間暖かい気候だと、ブドウにとっても非常に過酷な環境となる為、栄養をギュッと溜め込むようになるのです。
さらに、標高の高い地域は土壌の水分量が少ない傾向があります。
このような土壌で育てられたブドウは、やはり水分を蓄えようと味や香りが凝縮した実を付けるのです。
チリはまさに昼夜の寒暖差が激しく標高の高いところに畑を持つ生産者が多いので、美味しいブドウが出来上がるわけですね。
そんな濃厚な味と香りを持つブドウで作られたワインが美味しくないわけがありません。
チリワインが安くて美味しい理由③関税が安い
海外の商品を日本に輸入すると、関税がかかります。
これは税金の一種で、この関税が高いと商品の価格を上げざるを得ず、日本の消費者はちょっと損をした気分になってしまいます。
ところが、日本とチリは「経済連携協定」というものを結んでいて、これによってチリからの輸入品の関税がものすごく低く抑えられているんです。
ワインに関しては、ほとんど関税がかかっていません。
一部のワインは関税がまだ必要な状態ですが、一般的に流通しているワインの大半は関税ゼロで日本に入ってきています。
余談ですが、日EU・EPAによる関税撤廃により、すでに欧州ワインは2019年4月から関税が撤廃されたことでも有名ですよね。
全てのチリ産ワインの関税が撤廃されるのは2022年。
しかし今の段階でほぼ全てが関税ゼロなので、通販で探した時にチリワインが安いのは当然なんです。
もちろん品質はそのまま。価格だけが抑えられているので、安くて美味しいワインが飲めるわけです。
チリワインが安くて美味しい理由④ぶどうを無農薬栽培することができる
人件費が安いので人の手でブドウの実を丁寧に摘み取ることができ、それが美味しいワインにもつながっているのですが、もう一つ、無農薬栽培が可能な条件が揃っていることも、チリワインの質を向上させています。
無農薬栽培を行うには、害虫などの存在が邪魔になります。
農薬を使うのは害虫を駆除したり寄せ付けないためですからね。
ワインの大敵と言われている害虫に“ブドウネアブラムシ”という虫がいるんですが、チリにはこの虫がいません。
ちなみにこの虫はワイン業界では“フィロキセラ”と呼ばれています。
ブドウネアブラムシはその名の通り、ブドウの樹の根に住み着くアブラムシで、この虫が住み着いたブドウの樹は栄養分などを吸い取られ枯れてしまいます。
ヨーロッパやアメリカなどにはこの虫に全滅させられたブドウ畑が山ほどあり、その恐ろしさからワインの大敵とまで言われているんです。
チリにはこの害虫がおらず、他国から侵入しないよう現在でも気を遣っているため、農薬を使用する必要がほとんどありません。
その結果、ブドウの本来の美味しさを引き出すことができ、混じりっけのない美味しいワインにつながっているわけです。
チリワインは安くて美味しいだけではなく、安全性も非常に高いワインということになります。
チリワインが安くて美味しい理由⑤本場フランスの影響を受けている
チリワインの製造が盛んになったのは、19世紀にフランスのワイン作りの知識と技術を持った醸造家たちがチリに渡り、その技術などを伝えたためです。
それ以前にスペイン人がチリに渡りましたが、そこで伝えたのは主にブドウの作り方。
ワインに関してはフランスの技術と、害虫に感染していないブドウの苗木がチリに持ち込まれ、現在のチリはこの影響を存分に受けながらブドウとワイン作りを行っています。
見よう見まねのワイン作りではなく、本場フランスの職人が手がけた伝統的な手法が受け継がれているというのがポイントですね。
こうした流れがあるので、チリではフランス固有のブドウ品種も多く栽培されているんですよ。
そこにチリならではの気候によるブドウの味と、無農薬栽培による自然な旨みや香りが加わるわけですから、チリワインが美味しく仕上がるのは当然なのかもしれません。